ファゴットに出会ったのは中学時代の吹奏楽部。今思えば、部活を決めるとき友人に一緒にブラスバンド見に行こうぜ、と誘われたのが全ての始まり。誘われなかったらどうなっていたのだろう。何せ写真部に入ろうと思っていたのだから。オーボエをやってみたかったのだが空きがなく、代わりにちゃんと余りがあったファゴットになったのはよくある話。その後どっぷりずぶずぶとファゴット沼にはまり込んだのもご想像通り。完全に抜け出せなくなり高校生になる頃には自分にはこの道しかないのだと信じ込み、幸運にも自分の音楽のすべてとなる師匠と出会うことができる。師匠のまぁいちからやり直すつもりで、の一言と、当時芸大ファゴット科を卒業された先輩の披露演奏の素晴らしさに打ちのめされる。がーん。国立大学しか行けないからと親に釘を刺され必死に練習と勉強。晴れて東京芸大に現役合格。やれやれ。在学中は東京文化会館の新進演奏家デビューコンサートに出たり、海外の名プレーヤーの方々のレッスンを受けたりプロオーケストラにエキストラ出演したり友人たちと演奏会を開いたりと、充実していたおかげであっという間に卒業。芸大フィルハーモニアで3年間仕事をしているうちに、やっぱり留学しなきゃ、となりドイツへ。我ながら勇気ある決断。
 
リューベック。わが心の故郷。風光明媚な田舎町で練習して遊んで練習して、とあんな自分のことだけ生きていれば良いシンプルな生活はどう考えてもこれからはないだろうな。二人の師匠(並とコントラ)の演奏していた北ドイツ放送響もよく聞きに行った。日本公演では考えられない値段で。そんな中でリューベック歌劇場のオーケストラアカデミーやハンブルク交響楽団の契約団員、ドイツ最高峰のユースオーケストラなんかも経験できて本当に濃密に充実した時間を過ごせた。学校の推薦でDAADから表彰もされたっけ。そうそう、ザビーネ マイヤーさんらと室内楽ができたのも忘れがたい。今も使っているヴィンテージもののヘッケルに出会えたのもこの頃。この楽器あってのリード販売、というところもある。ご縁。バッハのライプツィヒ近くのヘンデルのハレでの契約団員も、オペラにバレエにオーケストラにと盛りだくさんな上に、演奏旅行も多くて忙しかったけどすごく楽しかった。同僚たちの素朴な優しさは思い出すだけで涙が出る。
 
そう、リード販売。帰国後は神奈川フィルの契約団員を務めたり、国内のオーケストラにちょこちょこ出させて頂いたり、念願の古楽器なんかも始めてみたりもしているのだけど(これがまた実に楽しい)、自分のそれまでの経験を完成リードの販売で活かせないかと思い立ち、ポンチキなサイトを作って始める。楽器店の少ない地方でもインターネットの力でなんとかしてファゴット吹きの皆さんの役に立ちたい、というのが大きな目標の一つ。あんなへっぽこサイトの時からずっとお付き合いくださっているユーザーの方々にはただただ感謝。これからは楽器店で購入してくださっている方も含めてもっとコミュニケーションの取れる形で、販売だけでなく広い視野でサポートできれば、というのが目標。自分の演奏活動と両立してどこまでできるか。